記事内に広告が含まれています

着物の種類と格・TPO どんな帯を合わせるの?

着物の種類と格

着物は、色や生地、模様のある場所などによって種類が分けられています。

着物にはそれぞれ「格」があり、「第一礼装」「準礼装」「お出掛け着」「普段着」に分類されます。
洋服でも披露宴に招待されたときと友達を食事や映画に行くとき、同じ服装ではありませんよね。
着物も同じように、どのようなシーンで着用すればいいのかの指標となるのが「格」です。

「着物の種類=格」でないところが、悩ませる要因となっており、紋の数や種類、模様や生地、どの帯を合わせるかなどによって「格」が変わるのです。

それぞれの着物の種類と格、どんなシーンで着用するのが好ましいのか、合わせる帯などについてわかりやすく紹介します。

着物の「格」の違いについて

格は大きく分けて「第一礼装」「準礼装」「お出掛け着」「普段着」の4つに分けられます。

一番格が高い第一礼装は、冠婚葬祭などの儀式の時、準礼装は披露宴に招待された時や茶道のお茶時、入学式や卒業式など、お出かけ着は同窓会や食事会、観劇などでの着用になります。

「格」は着物の種類だけでなく、紋の数や種類、模様の豪華さ、生地、地模様、合わせる帯によって変わりますが、一般的には下記表のように分類されます。

第一礼装 打掛・黒紋付・黒留袖・本振袖など
準礼装 色留袖・振袖・訪問着・付け下げ・紋付色無地など
お出掛け着 小紋・紬の訪問着・色無地など
普段着 紬・木綿・ウール・浴衣など



着物の種類


着物の種類は、11種類に分けられます。

  • 打掛(うちかけ)
  • 黒紋付(くろもんつき)
  • 黒留袖(くろとめそで)
  • 色留袖(いろとめそで)
  • 振袖(ふりそで)
  • 訪問着(ほうもんぎ)
  • 付け下げ(つけさげ)
  • 色無地(いろむじ)
  • 小紋(こもん)
  • 紬(つむぎ)
  • 浴衣(ゆかた)

それぞれの格や着用シーン、合わせる帯などを紹介します。


打掛(うちかけ)

打掛

伝統的な婚礼衣装。

打掛は、着物の上に掛けるだけの着物で、裾に綿をいれた「ふき」で厚みを持たせてあり、裾を引いて歩いても足にまとわりつかないようになっています。

打掛は結婚式に相応しい縁起のいい鶴亀や鳳凰、熨斗などが描かれています。

【着用シーン】
全体を白で統一した白無垢は結婚式のみで、綿帽子と合わせて着用します。
色打掛は結婚式と披露宴で着用でき、角隠しと合わせます。

黒紋付(くろもんつき)

黒紋付 喪服

黒紋付は、黒色の無地着物に染め抜き日向紋の五つ紋が入っています。

既婚・未婚は関係なく着用できる第一礼装で、黒い帯や小物を合わせて「黒紋付=喪服」として認識されていますが、本来は華やかな帯や小物を合わせて慶事にも着用することができるものです。
宝塚歌劇団の卒業式は、黒紋付に深緑の袴ですね。

喪服として着用する場合、黒い帯と小物で第一礼装となり、黒以外の色喪帯を合わせると準礼装となります。喪の帯は「悲しいことが重ならないように」と、名古屋帯で一重太鼓にすることが多いです。

五つ紋は、背縫いの中心「背紋」、両胸の「抱き紋」、両袖後ろの「袖紋」に、「家紋」を入れます。

「背紋」は先祖、「抱き紋」は両親、「袖紋」は兄妹姉妹、親戚を表していて、守ってもらってる、魔除け、縁をつなぐ願いが込められていると言われています。

家紋も地域により、実家の家紋、代々母系紋を引き継く女紋、嫁ぎ先の家紋など異なります。

【着用シーン】
袴と合わせて、卒業式
黒喪帯や色喪帯を締めて、葬儀や告別式、法事など
(第一礼装か準礼装かは故人との繋がりで変わります)

黒留袖(くろとめそで)

黒留袖は、既婚女性の第一礼装で、染め抜き日向紋の五つ紋の入った黒地着物の裾に絵羽模様(縫い目をまたがって模様がつながっている)が入っています。

結婚式で新郎・新婦の母親や既婚の親族などが着用します。

黒留袖には比翼(ひよく)と呼ばれる白いひらひらしたものが、衿、袖口、振り、裾に付いています。
昔は黒留袖と長襦袢の間に、襲(かさね)という白い着物を着ていたのですが、重ね着すると重く不便なことから、簡略化されて黒留袖を比翼仕立てにして襲を着ているかのように見せています。

重ね着は「良いことが重なる」という意味もあり、慶事である結婚式にふさわしい装いです。

箪笥のある黒留袖や頂いた黒留袖に比翼が付いていなかったら・・・
後付けで比翼を付けることができるので、早目に比翼仕立てにしておきましょう。

黒留袖には、金糸や銀糸の豪華で格の高い丸帯・袋帯を合わせます。

結婚式なので縁起の良い柄を選び、末広(祝儀扇子)を忘れないようにしましょう。
末広は左側の帯と帯揚げの間に帯から2~3cm出して刺し、手で持つ場合には、要側を右手側にして両手で持ちましょう。決して広げて扇いではいけません。

【着用シーン】
結婚式や披露宴:新郎新婦の母親・仲人・既婚の親族

色留袖(いろとめそで)

色留袖は、上半身に柄はなく裾に絵羽模様に入った黒色でない留袖のことです。

黒留袖との違いは紋の数で、染め抜き日向紋の五つ紋で比翼仕立てにすると第一礼装、三つ紋または一つ紋にすると準礼装で訪問着と同格になります。

五つ紋・比翼付き」の場合は、第一礼装で黒留袖と同格になるので、金糸や銀糸の豪華で格の高い丸帯・袋帯を合わせます。

結婚式や披露宴で、新郎・新婦の母親以外の親族が着用します。

宮中での第一礼装は色留袖となっているので、叙勲や晩餐会などの映像をみるとみなさん色留袖を着用されています。

三つ紋や一つ紋の色留袖は準礼装となり、友人の結婚式や披露宴で着用します。

紋の数によって格が変わりますが、一つ紋の比翼なしの場合でもカジュアルな場所での着用は好ましくありません。

【着用シーン】
第一礼装として、親族の結婚式や披露宴
準礼装として、友人の結婚式や披露宴

振袖(ふりそで)

振袖

振袖は、未婚女性の第一礼装で、袖の長さにより、大振袖(本振袖)・中振袖・小振袖に分けられます。

  • 大振袖は、袖丈が110cm前後で、主に結婚式や披露宴の花嫁衣裳として着用します。
  • 中振袖は、袖丈が100cm前後で、主に成人式やパーティー、結納などで着用します。
  • 小振袖は、袖丈が80cm前後で、主に卒業式の袴に合わせたり、お茶会で着用します。

袖が長いほど格が高くなりフォーマルシーンに用いられ、短くなるほどセミフォーマルになりますが、着用する人の身長によって合う袖丈で変わるので、合わせてお仕立てしてもらうようにしましょう。

振袖には格の高い豪華な丸帯や袋帯を合わせ、帯結びも華やかにすることが多いです。

伊達衿を合わせ衿元を華やかに、帯揚げは総絞りのものをたっぷりと見せ、帯締めも存在感のある幅の広いものや丸ぐけを合わせます。髪飾りも忘れずに!

【着用シーン】
大振袖:花嫁衣裳として結婚式や披露宴
中振袖:結婚式や披露宴、成人式、式典、パーティー
小振袖:袴と合わせて卒業式、お茶会

訪問着(ほうもんぎ)

訪問着は、既婚・未婚に関係なく着用できる準礼装です。

縫い目をまたがって模様がつながっている絵羽模様で、留袖のように裾模様だけでなく上半身にも模様が入っています。

豪華な訪問着は、親族でない結婚式や披露宴などで着用され、金糸銀糸の入った格の高い袋帯や小物を合わせましょう。

優しい色合いの訪問着は、こどものお宮参りや七五三・入学式・卒業式などの行事に着用されますが、主役はこどもなので派手になりすぎないように気を付けましょう。

また、洒落向きの柄で金糸などが入っていないものや、紬地の訪問着は、お出掛け着としてカジュアルなパーティーや食事会、観劇などに着用すると良いでしょう。

訪問着はその柄や素材によって、準礼装用向きのもの、カジュアルダウンできるものがあります。

【着用シーン】
豪華な訪問着:親族でない結婚式や披露宴、パーティー
優しい訪問着:お宮参り・七五三・入学式・卒業式、祝賀会、お茶会
紬の訪問着:カジュアルなパーティー、食事会、観劇

付け下げ(つけさげ)

付け下げは、控えめな柄のフォーマルな着物で、訪問着の次に格が高いものです。

付け下げは、袋帯を締めれば入学式や卒業式などで着用ができ、名古屋帯を締めれば食事会や観劇などで着用できる、合わせる帯によって着用シーンが増える便利な着物です。

訪問着は絵羽模様、付け下げは飛び柄とよく言われますが、縫い目で柄がつながっている付け下げがとても多いので、それで判断することはできません。

仕立て前に仮絵羽状態なのが訪問着、反物なのが付け下げとか、共八卦(表地と同じ生地で染めてある)なら訪問着、そうでないなら付け下げとも言われますが、付け下げの反物にも豪華な柄のものがあり、仕立てると訪問着と区別するのは難しいです。
仕立て前に反物だった豪華な着物は、訪問着になるのか、付け下げになるのか?迷います。

呉服屋さんにお聞きしたところ
「訪問着」と「付け下げ」の区別は、仕立て上がりが豪華なものは訪問着、控えめなものは付け下げと思えば、着用シーンを間違えることはないと教えていただきました。
これだとわかりやすいですね。

【着用シーン】
袋帯を締めて、友人の結婚式や披露宴、こどもの入学式や卒業式など学校行事、お茶会
名古屋帯を締めて、友達との食事会や観劇

色無地(いろむじ)

色無地は、黒以外の一色で染めた着物で、紋の数、あるなしで格が変わります。

五つ紋や三つ紋にすると親族の結婚式や披露宴で着用できるのですが、留袖や色留袖、訪問着を着る方がほとんどで色無地は出番がないのです。
そのために、色無地には一つ紋をいれて準礼装、紋なしでお出掛け着とされる方が多いです。

色無地は紋のあるなし、地紋(じもん)のあるなし、地色によって着用シーンが変わりますので、お仕立てされる場合には、着用用途を考えてつくりましょう。

色喪服として着用する場合には、地色がグレー、濃紺、紫、抹茶、海老茶など、色合いと光沢がおさえたものが適しています。
帯は、黒喪帯もしくは色喪帯(グレーや紫の地色に雲取や流水、蓮柄、梵字のもの)を締めます。

【着用シーン】
一つ紋:結婚式や披露宴、こどもの入学式や卒業式、お茶会
紋なし:友人との食事会、観劇、お出掛け着として着用

小紋(こもん)

小紋は、全体に柄が入った着物で、お出掛け着として着るカジュアルきものです。

一般的に同じ模様の繰り返しで、模様に上下がなく縫い目で柄合わせがされていません。
柄付けが上向き(肩の方)になっている小紋は、付け下げ小紋と呼ばれます。

小紋には、名古屋帯や洒落袋帯、半幅帯などを合わせます。

江戸小紋三役(鮫・行儀・通し)に一つ紋を入れるとセミフォーマルシーンにも着用できます。

【着用シーン】
江戸小紋一つ紋:結婚式や披露宴、こどもの入学式や卒業式、お茶会
小紋:食事会、観劇、お出掛け着として着用

紬(つむぎ)

紬は、先に糸を染めて織りあげていく着物で、お出掛け着として着るカジュアルな着物です。

日本の三大紬は、大島紬・結城紬・牛首紬で、その他には小千谷縮・本塩沢などがあります。
素材は、正絹・麻・木綿・ウールなど様々です。

繊細な柄の手織り紬はとても高額ですが、どれだけ高価なものでもカジュアルきものなので、格の高い丸帯や袋帯を合わせることはありません。

紬には、小紋と同じように名古屋帯、洒落袋帯、半幅帯を合わせます。

【着用シーン】
食事会、観劇、お出掛け着として着用

浴衣(ゆかた)

浴衣

浴衣は、最もカジュアルな着物で、一般的には長襦袢を着用せずに着ます。

昔は寝巻きとして着用していたもので、今も旅館に宿泊すると寝巻きとして用意されていますね。
浴衣には、半幅帯または兵児帯を結び、素足に下駄を履きます。
「Tシャツ・短パン・ビーサン」と同じ感じですね。

浴衣は、夏祭りや花火大会、盆踊りなどで着用されますが、もし、昼間に浴衣を着る場合には、長襦袢を着たり、嘘つき衿をして着物風にして、足袋に草履を履くと良いでしょう。

【着用シーン】
着物風にして、友達との食事会、ランチ
浴衣:夏祭り、花火大会、盆踊り、部屋着として


着物の種類と格、着用シーン まとめ

着物は同じ形をしているのに、色や模様のある位置、模様の種類、地紋、紋、素材などによって、種類と格があります。

種類=格でないところ、それぞれの種類に例外が存在することが難しくなります。

フォーマルシーンでの着用は、格に注意する必要がありますが、それ以外の場合はあまり考えずにたくさん着て出掛けてほしいと思います。
着物姿の方を見かけると「ありがとう」と謎の気持ちになっています(笑)

参考になると幸いです。